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音楽制作の始め方

音楽を作ってみたい、という声を複数いただきましたので、そのはじめ方について私なりに述べさせていただこうと思います。

音楽を作るとは

そもそも音楽を作るとはどういうことなのか?ということを多くの人は知りませんし、やっている方としてもそれが複雑で容易に説明できないものです。

基本的なフローは次のようなものだと、私の場合は思います。

  1. 作曲&データ化
  2. 編曲&データ化
  3. 収録&データ化
  4. ミキシング
  5. 編曲&エディット
  6. ミキシング
  7. 作詞
  8. 収録&データ化
  9. ミキシング
  10. マスタリング

この時点で作業が複合している上に行ったり来たりしているので、その説明が容易ならざることとは伝わるかと思います。

とはいえ、技能的に分ければ次のような作業になります。

  • 作曲・編曲等譜面上の音を編纂する作業
  • 作詞
  • 演奏・レコーディングなど音を収録する作業
  • データとして編集する作業

これらは必ずしもはっきり分かれているわけではなく、作曲しながらデータ化しながらそれを編集もするようなことは普通です。

これらの作業を基本的にひとりでまかなうようになったのは、DAWという音楽制作ソフトウェアによるところが大きいと言えます。

なお、初音ミクなどのボーカロイド、あるいは人口歌唱合成ソフトウェアによりヴォーカルトラックを作成することを含め、「コンピュータに演奏させる」のであれば、データ化とデータの編集と一体になった収録作業となります。

何が必要ですか?

まず音の良し悪しを判断する耳が必要です。そのためには様々な美しい音楽を聴くことが必要です。

とはいえ、実際にそれはかなりハードルが高いことです。どうしても普通は自分が好む、偏りのある音楽を聴きますから。実際、なんでも聴くという人に、私のアーカイブから様々なジャンルを提示すると、その大半は受け入れないのが普通です。

音楽の理論はわからなくても、「気持ち悪い音」を理解できるのであればそれなりにまともな音楽を作ることが可能です。

とはいえ、ソフトウェアに頼るのであれば、音楽的な知識はなくても作ることは可能であり、どのような音楽を作り、それをどうしたいのか次第だとも言えます。

音楽家の作る「きちんとした音楽」を作るなら、音楽的に理論に関する基礎知識、鍵盤楽器に対する多少の演奏力、楽器と音楽史に関する知識、DAWの操作技能は必要だと思います。しかし、ここではプロになるにはどうすればいいか、ではなく「私も作ってみたい」程度の体験レベルの話ですから、特にそこまで求めることはないでしょう。

とりあえず自分の音を作ってみましょうか

意義

楽器がある程度弾けるようになったら、めちゃくちゃに弾いてみたことがない人はまずいないように思います。その時点で、めちゃくちゃな曲を作っているのです。

曲として聴かせられるようなものではないけれど、それでも自分が作った曲というのは何度もリピートできるぐらい愛着のわくものです。そもそも、この世に存在し与えられたものではなく、自分から出てきた音が形を成すこと自体が非日常的な体験ですから、それはとても素晴らしいことなのです。

今はDTMによって、演奏技術がなくとも簡単に曲を作ることが可能です。

何が必要ですか?

まずそこそこのコンピュータが1台必要です。あまりごちゃごちゃしていなければ普段使っているものでも構わないのですが、1台用意するほうが良いとは思います。

そのコンピュータは画面が表示でき、キーボードとポインティングデバイス(マウスなど)があり、音が出る必要があります。

また、そのPCはここでは比較的新しいx86系アーキテクチャのWindowsであることを前提としています。

DAW

とりあえずDAWがあれば音楽が作れる、と言ってもいいと思います。

フリーウェアで作る方法もありますが、それなりに困難が伴いますので、ここでは何の知識もなしに、泥縄式で作れるようにという方向で3つのソフトウェアを提案します。

Sony Creative Software ACID Music Studio

ACIDは「ループ素材を貼り付けて音を作る」スタイルの音楽制作ソフトウェアです。

ループ素材はとても短い〜短めの音声ファイルで、引き伸ばして繰り返すことが可能になっています。これをドラッグ&ドロップでトラック上に配置します。そうして配置された「クリップ」の左右の端を掴み、引き延ばすことで好きな長さ繰り返すことができるようになります。

音楽的な知識は不要です。素材を聴いて、イメージに近いものをトラックに持って行って、びーっと引き延ばすだけ。

ただし、基本的にこのやり方から出ることはできません。それが制作可能な楽曲の制約となります。最もお手軽である一方で、そのやり方に沿ってやる必要があり自由度はあまりありません。

Ableton Live

LiveもACID同様に音声ループ素材を組み立てる方式をとるDAWですが、ACIDと比べ「組み合わせる」ことに力が注がれており、その名の通りDJがライブパフォーマンスで利用するようなことが想定されています。

ハードウェアコントローラがあればより直感的に、慣性のままに作ることができますが、操作はACIDほど簡単ではありません。一方、可能性はACIDよりもだいぶ広がるものの、完全に自作したい場合には快適とは言えません。

ハウスミュージックなどではCDになるような曲であっても使用されています。

Image-Line FL STUDIO

FL STUDIOは既にある音声素材を使うのではなく、「パターン」と呼ばれる短い(4小節が基本)音を作り、これを繰り返すことで曲を作っていくことを基本とするDAWです。

基本的な作り方はACIDと共通しますが、元になる音は自分で作るのが基本、という点が異なります。リズムパターンを作るのは楽しいものなので、ACIDやLiveと比べ作っている充実感があるかもしれません。

ACID同様のループコンストラクションと、簡易的ではありますがメロディやコードを自由に打ち込むことのできるピアノロールエディタも備えています。

市販楽曲にも広く使われているソフトウェアですが、基本的にはクラブ、テクノなどを得意とするソフトウェアです。

おまけ: SONARでやる

私が使用しているSONARは極めて総合的な、完全な制作を可能とするタイプのDAWです。

SONARはACID同様のループコンストラクション、Live同様のマトリックス、FL STUDIO同様のパターンの各エディタを備え、それらが可能な全てが可能です。

しかし、その分動作は重く、また操作方法の習得は困難です。

そうじゃなくって…

言いたいことは分かりますが、音楽を作るというのはと特殊技能ですし、そんなに一朝一夕で習得できるものではありません。私は10代の全てをかけて習得したようなものですしね。

機材の揃え方については色んなところで記事になっているので、それを見れば良いと思うのですが、実際は途方にくれて買っただけで終わるのが普通だと思います。

とはいえ、それなりにアドバイスはさせていただきましょう。

楽譜読めないとダメ?

ピアノロールに慣れればそれなりに和声的なイメージがつかめるようになるだろうとは思うので絶対とは言えませんが、楽譜が読めないまま音声的な理解が可能だとは私は思いません。

楽器できないとダメ?

別にダメではありません。ただし、鍵盤楽器が弾けないと制作効率にかなりの問題が出ます。

フリーソフトだとダメ?

ダメではないけれど、様々に苦労するので、苦労を厭わず、時間を使ってでもお金を節約したい人向け。決して「ビギナー向け」ではありません。

KXStudioは非常におもしろいとは思うのですが、ではビギナーに勧めるかというと、それはないなと思います。

機材は?

恐らくミニマムなのは、PC, I/O, ヘッドフォン, DAWです。I/Oにある程度のDAWはついてくるだろうからそれでまかなえるし、ヘッドフォンに定番のMDR-CD900STを使えばそれでまっとうな音が作れると思います。

なんらかの鍵盤インターフェイスはあったほうが良いと思います。私はそこそこ弾くので61鍵を使っていますが、小さくてもマウスでぽちぽちやるよりは効率的なはずです。

ちょっと遊ぶのに最適なDAW

トータルで作れて、お手軽で安価で扱いやすい、というとAH-Software Music Maker MX, Intenet Ability, Presonus Studio Oneだと思います。いずれもマイナーではあり、プロフェッショナルワークスには名前が出てきませんが、趣味には十分なクオリティを提供してくれます。

それらとFL Studioを組み合わせて使用するとかりな快適だったりしますし、ずっとそれで遊んでいられると思います。

私の場合、全ての作業が可能な完全な環境を手に入れる手っ取り早い手段として、SONAR ProducerとKOMPLETE ULTIMATEを選択しました。合わせて16万円ほどかかりますが、全ての作業が可能であり、不足分を少し足すだけで作りたい音が作れます。予算をかけられるのならそういう道もあるでしょう。

ただし、私の場合のこれは、あくまでプロフェッショナルクオリティのための選択です。

ボカロ

VOCALOIDはYAMAHAの音声合成技術ですが、ここではその製品を指して述べます。

VOCALOIDは基本的には他の楽器同様に、コンピュータ内で演奏させるためのソフトウェアシンセサイザのひとつです。ただし、一般的にはプラグインシンセサイザとして機能するソフトウェアシンセサイザの中で、VOCALOIDはReWireに限定し「単独で動かすのが基本」であり、しかもその演奏する楽器は「声」であるためその調整は非常に困難なようです(私は実際に使ったことはありません)。

入り口としては、きっかけとしてはいいかもしれませんが、作業難易度はDAWの工程の中でもかなり難しい部類に入ると思います。

Since: 2015-05-04 02:13:23 +0900
Last update: 2015-05-04 02:13:21 +0900
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